AEDの要請から電気ショックまでの3つの手順|AEDの使い方と注意点

AEDの設置がオフィスビルなどでも進み、仕事中、身の回りにAEDが設置されているといった方も増えてきたのではないでしょうか?

ですが、『身近にAEDはあるけれど、忙しくてなかなか講習など受けられない』といったお話を伺います。

この記事ではそうした方に向け、『AEDの要請から電気ショックまでの流れ』を3つのステップに分けてAEDの使い方と注意点を解説していきます。

AEDの要請から電気ショックまでの流れ

心肺停止の疑いのある傷病者へ胸骨圧迫と合わせてAEDを用いた救命処置をするためにはAEDの要請→AEDの準備→AEDの操作の3つの行動が必要になります。

この中で、お問い合わせやご質問が多い点が 『AEDを使っていい状況なのか?』『電極パッドをそのまま貼ってもいい状況なのか?』など、救助者が判断するが部分です。 (下の囲み下線部)

そうした判断をAEDを使う時にするのではなく、事前に想定しておくと、万が一の緊急時でもすみやかな対応ができます。

ここではAEDが設置されている職場で、人が倒れたときを想定した2名以上で行う救命手順を元に、それぞれの場面で出てくる注意点を解説していきます。

なお、救助者が1人だけの場合、もしくは近くにAEDがない場合の優先順位は、 119番通報と胸骨圧迫 です。近くにAEDがなければ119番通報後、胸骨圧迫を続けることを優先してください。

1.AEDの要請
  • AEDを要請する
  • 胸骨圧迫を開始する
  • AEDの使用に注意や配慮が必要か判断する
2.AEDの準備
  • AEDを傷病者の脇に置き電源を入れる
  • 電極パッドを袋から取り出す
  • 傷病者の上半身の衣服を脱がせる
  • 電極パッドを装着してもいいか判断する
  • 電極パッドを装着する
3.AEDの操作
  • 心電図の解析を待つ
  • 電気ショックの充電を待つ
  • 電気ショックボタンを押す
  • AEDのガイダンスに従い心配蘇生を繰り返す

 

 

『AEDの要請』について

突然の心停止

傷病者を発見し、肩をたたくなどしても反応がない場合、 大声で応援を呼び、駆けつけた協力者に『119番通報』と同時に『AEDの要請』をします。 

その後は傷病者の呼吸を確認し、普段通りの呼吸がなければ、直ちに胸骨圧迫を開始し、救急隊の到着とAEDの到着を待つことになります。

この『AEDの要請』時に、AEDの使用に特別な配慮が必要かを判断できると次の『AEDの準備』がスムーズに行えます。

 

 AEDを用いた救命がすぐにできない状況
安全に救助が行えない場所

火災発生中の建物など、傷病者が危険な場所で倒れている場合では救助者に危険が及ぶ場合。

傷病者が水の中

水の中ではAEDが使えないため、傷病者を引き上げ、胸を乾いた布で拭く必要があります。シャワールームやお風呂場の床などでも傷病者の胸の水分を拭き取ればAEDは使用できます。

 

 

 AEDの使用に配慮が必要になる状況
傷病者が小さい子供の場合

小学生未満へAEDを使用する際は小児用の電極パッドを使用する、もしくは小児用切り替えモードに切り替えての使用が望ましいとされています。
設置されているAEDが小児切り替えスイッチのついた機種なのか、小児用の電極パッドへ交換して行う機種なのか確認しておくと安心です。

傷病者が女性の場合

周囲から隠すこと、視線を遮る工夫をしたり、女性が救命にあたるなどの配慮ができると望ましいです。

傷病者が妊娠している場合

原則は上記の女性の場合と同様の手順です。不安な場合は119番通報時に通信司令官に指示を仰いでください。

移動中の車両の中など

車を停め、傷病者を仰向けにしてから救命にあたることが望ましいとされています。

 

上記のような状況を 事前にAED設置先の環境を把握しておくと、上記のような特定の行動が必要になるか想定できるため、緊急時にすみやかな救助ができます。 

職場でAEDを使うことを想定した場合、気をつけるべきは女性への配慮です。予め、AEDの近くにバスタオルなど大きめの布を用意しておくと、周囲からの目隠しに使えるほか、胸部を拭き取る必要があるときにすみやかな操作が行えます。

もし、判断に迷うときは119番通報時に通信司令官に指示を仰いでください。

AEDの要請時の注意点
AEDを用いた心肺蘇生が実施できると、突然の心停止からの社会復帰率がおよそ2倍になります。
ですが、救命初動での優先順位は119番通報>胸骨圧迫の開始>AEDの要請の順です。
仮に、発見者が1人の場合で、AEDを取りに行くのに片道5分かかるような場合などは119番通報後に胸骨圧迫を継続することが優先されます。

 

『AEDの準備』について

AEDの準備

AEDが救助者の元に届いたら傷病者の脇に置き、電極パッドを袋から開け、AEDの準備をします。

救助者が2人以上いる場合は傷病者を側面からはさんだ位置を取り、一方が胸骨圧迫を継続し、反対側にいる救助者がAEDの準備を行うとすみやかな対応ができます。

AEDの使い方はどの機種も基本的に同じですが、多少の違いがあります。例えば、蓋を開けることで電源が自動で入るものとボタンを押して電源を入れるもの。または、小児切り替えスイッチの付いたものと、そうでないものなどがあります。万が一に備え、日頃から、身近にあるAEDに慣れることが推奨されます。

『AEDの準備』で不安をもつ多くの原因が電極パッドを貼るときの例外処理についてです。 原則、電極パッドは傷病者の右鎖骨と左脇腹にしっかりと貼り付けます。電極パッドの粘着部分と肌がしっかりと密着すれば問題ありません。 ですが、以下の場合で例外的な行動が必要になります。

 

 電極パッド装着時に注意する状況
傷病者が女性

衣服を脱がす際も周囲からの視線を隠せるようバスタオルなどがあると便利です。また、右鎖骨と左脇腹に電極パッドを肌に直接貼ることができればブラジャーを外す必要はありません。なるべく女性の救助者で対応できれば好ましいです。

ペースメーカーをつけている場合

衣服を脱がせたときに鎖骨付近に人工的な出っ張りがあったら、電極パッドを貼るときに、パッド部分から離して装着する必要があります。

電極パッドが浮くほど胸毛が濃い場合

電極パッドが浮くほど胸毛が濃い場合、付属しているカミソリで体毛を除去した後で電極パッドを装着します。

胸部にシップなどの貼り薬が貼ってある

薬を剥がし、薬品が残っている場合は乾いた布などで拭き取った後で電極パッドを装着します。

肌が濡れているもしくは塗り薬

胸部を乾いた布等で拭き取った後で電極パッドを装着します。

衣服を脱がすのに時間がかかる

AEDに付属しているハサミを使って衣服を切ります。

ネックレスなどのアクセサリー

ネックレスなどのアクセサリーがある場合は電極パッドから離す必要があります。取りやすいものであれば外した方が電気ショック時の火傷を防げますが、時間がかかるのであれば付けたままでAEDを使用します。

 

『AEDの準備』の流れ

ここからは弊社で取り扱ってるZOLL AED Plusでの写真解説です。
AEDの準備に必要な手順はどのメーカーも共通していますが、こちらのZOLL AED Plusは一体型の電極パッドを採用しているため、多少違いがあります。

AEDを傷病者の脇に置き電源を入れる

蓋を開け、AED本体に付いている電源ボタンを押し、AEDを起動させます。

AEDの電源を入れる

AEDの電源を入れる

 

電極パッドを袋から取り出す

電極パッドを袋から取り出し広げます。電極パッドは一度開封すると交換が必要になるので、操作の確認では開けないように注意しましょう。新しい電極パッドに交換するときに余計なコストがかかってしまいます。

電極パッドの袋を開ける

AEDの蓋を開け電極パッドの袋を開ける

電極パッドを袋から取り出す

電極パッドを袋から取り出す

電極パッドを貼ってもいいか判断する

傷病者の衣服を脱がした時、電極パッドをそのまま貼ってもいいか判断します。
電極パッドの粘着部分と肌が密着して貼ることができれば大丈夫ですが、濡れている場合、胸毛が濃い場合、薬剤が塗られている場合などは乾いた布で拭き取ってから装着してください。
なお、傷病者が女性の場合、ブラジャーを外す必要はありませんが、電極パッドと肌の間にブラジャーが入り込まないように注意してください。

電極パッドを装着する

体の中心と両乳頭の交差点を目安に電極パッドを置きます。
ZOLL AED Plusは一体型の電極パッドになっており、真ん中に胸骨圧迫のセンサが付いています。(パッド青色の部分)この真ん中についているCPRセンサの十字線を使って位置を確認しながら、センサ部分が胸の中心にくるように置きます。
電極パッド真ん中部分のCPRセンサを右手で押さえながら、傷病者の右鎖骨側、赤い矢印2番のタブを引っ張り、電極パッドの保護シートを剥がします。中央から外側に向かって押さえ、傷病者の胸に空気が入り込まないように、体にぴったりと貼り付けます。

同様に、傷病者の左脇腹側の電極パッドを赤い矢印3番のタブを引っ張りしっかりと貼り付けます。これでAEDの準備は完了です。

パッドを貼る位置

パッドを貼る位置

電極パッドを胸に置く

電極パッドを胸に貼る

電極パッドをしっかりと貼る

右鎖骨の電極パッド

左脇腹の電極パッド

左脇腹の電極パッド

 

AEDの準備時の注意点
このときも重要な点は胸骨圧迫の中断時間を可能な限り減らすことです。
1人で救助にあたる場合を除き、胸骨圧迫とAEDの準備は手分けして行い、誰かしらが胸骨圧迫を行えることが大切です。
また、普段から身近にあるAEDを確認しておくと、万が一のときに落ち着いてAEDの準備ができます。

 

『AEDの操作』について

AEDによる電気ショック

AEDは電源を入れ、傷病者の胸に電極パッドが貼られると自動的に心電図の解析を始めますので、救助者が行うAEDの操作は主に、電気ショックを実施する時にボタンを押すことだけです。

AEDは名前の通り、操作のほとんどが自動で進むため、『AEDの操作』で注意すべき点は AEDの音声ガイダンスに従って心電図の解析中と電気ショックの実行時に傷病者に触れないことです。 

このとき、必ずAEDから『体に触らないでください。』『離れてください』などのガイダンスが流れますのでAEDから流れる音声に注意することを心がけてください。

そして、AEDは心臓のリズムの異常(心室細動)を確認した場合のみ、電気ショックの充電が始まり、本体にある電気ショック実行ボタンを押すよう音声ガイダンスが流れます。

救助者がボタンを押し電気ショックを実施した後は電極パッドを貼り付けたまま、胸骨圧迫を開始してください。その後はおよそ2分間隔で心電図の解析→結果を待つ→電気ショック→胸骨圧迫の繰り返しになります。

 

 

『AEDの操作』の流れ

心電図の解析結果を待つ
心電図の解析結果を待つ

心電図の解析結果を待つ

AEDの電源が入っている状態で傷病者に電極パッドが貼られると、心電図の自動解析が始まります。
『心電図を調べています。体に触れないでください』等の音声ガイダンスが流れますので、傷病者の体から離れて解析の結果を待ちます。
解析中に傷病者の体に触れてしまうと触れた者の心電図などが混ざる恐れがあり、解析に時間がかかるなど不都合が起こることがあります。

 

<分岐点>電気ショック有効or無効?

心電図の解析結果

AEDは心電図を解析し、心臓のリズムの問題があった場合、電気ショックの準備を始めます。
けれど、電気ショックを無効と判断することもあります。この場合の多くは、傷病者の発見までに時間が経過し、心臓が完全に止まっていた場合や心臓以外に原因がある場合に起きます。
 電気ショックが無効と判断された場合、AEDは電気ショックのステップを飛ばし、胸骨圧迫を再開するよう指示してきます。 

 

本体の電気ショックボタンを押す
点滅している電気ショックボタンを押す

点滅している電気ショックボタンを押す

電気ショックの充電完了後、心臓のリズムの異常を電気ショックでもとに戻すため、電気ショックを行います。
『だれも傷病者の体に触れないていないこと』を必ず確認し、AED本体にある電気ショックボタンを押してください。
この時、AEDからは『電気ショックが必要です。体に触れないでください。』そして、『点滅している電気ショックボタンを押してください』といった音声ガイダンスが流れます。

 

AEDの音声ガイダンスに従って胸骨圧迫は再開する
胸骨圧迫を再開する

胸骨圧迫を再開する

 

AEDの操作時の注意点
1度目の解析で電気ショックは不要とした場合でも2回目、3回目で電気ショックが必要と判断する場合もあります。胸骨圧迫を続けたことで完全に止まった心臓がまだ助けられる状態になった時などで起こります。
電気ショックが不要となった場合でも救急隊に引き継ぐまではAEDの電源を落とさず、電極パッドも貼り付けたままにして救助を続けてください。

 

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。

AEDの使い方と注意点を『AEDの要請、AEDの準備、AEDの操作』の3つに分けて解説を行いました。

AEDの使い方は基本的に全メーカー同じですが、細かい部分で違いがあります。もし、お近くに設置されているAEDがある場合、事前に確認しておくと万が一の時に落ち着いて操作ができます。AEDのマニュアルを作ろうとしている方や、使い方を社内で共有しようとする担当者の助けとなれば幸いです。

また、AED使用時の注意点などは少々覚えずらいので、設置先のAED環境からあらかじめ、想定しておくと迷わずに質の高い救命が行えます。

胸骨圧迫をサポートしてくれる高機能AED

旭化成ゾールメディカルのZOLL AED Plus

購入:280,000円(税別)
  • AED本体(メーカー保証5年)
  • 電極パッド
  • バッテリー
  • 救急キット
  • AEDソフトケース
リース:月々およそ4800円〜
リース時は金利の影響で価格が前後します。

 

 

旭化成ゾールメディカル Zoll AED Plus 

ZOLL AED Plusの特徴
  • 胸骨圧迫フィードバック機能で5cmの深さを機械がサポート
  • AED未使用時、消耗品の取り替えいらずで追加コストなし
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