AED解放から現在までの出来事を解説|AED普及期

今からおよそ13年前の2004年7月、日本でもAEDの民間設置と使用が認められ、2017年現在45万台以上のAEDが設置されています。

ですが、AEDの急速な普及に伴い、AEDの使用や管理についての様々な課題が浮き彫りになりました。

そうした事例を受け、近年では罰則はないものの条例としてAEDの設置や管理、使用を定める自治体がでてきており、普及期から成熟期にむかっている印象を受けます。

この記事ではこの間に起きた救命事例や報道された出来事、そして自治体の動きなどを時系列で解説していきます。

2004年〜2007年 AED黎明期

2004年 7月AEDの国内販売開始

国内でのAED販売開始

国内でのAED販売開始当初のカタログ

2004年7月、様々な課題を解消し、ついに日本においても心臓突然死を減らすため、AEDの販売が開始されました。

AED解放当初は日本光電、フィリップス、メドトロニクス(現フィジオコントロール)の3社のAEDで始まりました。また、製造だけでなく、販売も含めると、セコム、アルソック、フクダ電子などが黎明期のAEDの普及に貢献します。

当時の主な設置先は市役所などの公共施設、フェリーや航空機などの長距離旅客機から始まり、その後、スポーツ施設や大型ショッピングモールへ設置を広めていきます。

 

2005年 愛地球博でのAED救命事例

AEDと用いた心配蘇生

AEDを用いた心配蘇生

AEDの解放から1年を経たずにAEDを用いた救命事例が発生し、大きく報道されるようになりました。
特に注目されたものは愛地球博で救命事例が3件発生し、いずれも救命に成功したことです。この出来事は新聞の1面をかざるほどの報道でした。

そしてこの報道から大型イベントや人の集まる地域でのAED設置の必要性が社会に広まっていきます。

 

2006年 ガイドライン2005の導入

救命の連鎖 蘇生ガイドライン2005

救命の連鎖 蘇生ガイドライン2005

この年から、日本国内の救急蘇生法が大きく変わりはじめます。そのインパクトを与えたのが、国際蘇生ガイドライン2005です。

これは前年2005年に国際蘇生連絡委員会が公表した『心肺蘇生に関わる科学的根拠と治療勧告コンセンサス』をから作成された世界統一の救急蘇生の指針です。ここを転機に国際標準へ準拠するように変わり始めました。

 

2007年 東京マラソンでのAED救命事例

この年、第1回東京マラソンにて2名の市民ランナーが心停止し、AEDで救命されました

この時は国士館大学のモバイル隊(自転車に乗った救助チーム)が中心となりAEDを扱える大学生と救急救命士を配備し、大会の安全管理が行われました。

大会本部では、AEDを1kmごとに設置し、モバイルも含め、80台弱の体制でした。この時はAED設置台数の推計は22万台、まだAEDについての認知度が低く、報道で取り上げられることも小さかった印象でした。

2008年〜2015年 AED普及期

2008年 横浜市救急条例の施行

横浜市の条例ででAEDの一部義務化

横浜市の条例ででAEDの一部義務化

2008年の10月、救命率向上を目指し、日本で始めてAEDの設置を一部義務付ける横浜市救急条例が横浜市で施行されました。

この条例では以下のような防災センターの設置が義務付けられている防火対象物へ、自動体外式除細動器(AED)その他応急手当に必要な資器材(担架、毛布等)整備の義務化と当該防火対象物内で傷病者が発生した場合に、応急手当等を行うことができる体制を整備することを定めています。

参考 横浜市救急条例について

  • 劇場、公会堂、飲食店、百貨店、ホテル、病院等の不特定多数の者が出入りする
  • 防火対象物で、階数が11階以上、かつ、延べ面積10,000平方メートル以上など
  • 大規模な防火対象物
  • 一定規模以上の駅舎等 (別途告示で規定)

 

2009年 第3回東京マラソン

この頃になるとこれまでの東京マラソンでの救命事例もあり、マラソン大会やスポートイベントへのAEDが少しずつですが当たり前になってきました。

この年に行われた第3回東京マラソンではお笑い芸人の松村邦洋さんが15キロ地点で倒れ、駆けつけた医師らがAEDでの心肺蘇生を行い、その後社会復帰しました。

この出来事は翌日、報道で大きく取り上げられ、AEDの普及がより進んでいきます。

 

2011年 Asukaモデル

この年、埼玉県の小学校の駅伝練習で悲しい事故が起こります。当時小学6年生だった桐田明日香さんが課外練習中に倒れ緊急搬送、翌日に亡くなりました。この時、心停止が起きているとは誰も判断ができず、校内にあったAEDは使われませんでした。

当時さいたま市の教育長だった桐淵先生は大きなショックを受け、ご両親の「二度と同じことを繰り返して欲しくない」という強い想いとともに、再発防止に乗り出しました。救命できなかった事例を公開したことはこの事例が国内初だと思います。

教育委員会とご遺族を含めたチームを結成、目の前で誰かが突然倒れた時、迷わず落ち着いて迅速に対応するための研修用テキストとしてASUKAモデル作成の第一歩となりました。

この悲しい明日香さんの事故を受け、現在さいたま市では、小学生5年生から体育の授業に救命教育を取り入れ、すべての中高生がAEDを含む心肺蘇生法ができることを目指した取り組みを進めています。

参考:さいたま県さいたま市HP ASUKAモデル

 

2011年 元日本代表サッカー選手、松田直樹さんの心臓突然死

サッカーでの突然死

サッカーでの突然死

この年の夏8月2日、日本代表としても活躍していた松田直樹選手が練習中に倒れたというニュースが流れました。

9時50分頃からの練習中、突然倒れ、緊急搬送。その後の8月4日、34際の若さで、残念ながらそのまま亡くなりました。

病名は急性心筋梗塞による心室細動。AEDがあれば助かったかもしれない事例でした。この時、練習で使っていたグラウンドに設置されてたAEDは別の大会での使用のため、いつもの場所になかったといいます。

日本サッカー協会は、翌年度よりJリーグだけでなく、JFL等に試合や練習におけるAED常備を義務付けることを決定しました。日本陸上競技連盟は、松田選手が急逝した翌週に競技場内で行うトラック・フィールド種目でのAEDの設置の義務付け・操作方法を広めると決定

また、日本循環器学会AED検討委員会と日本心臓財団が松田選手の件をうけてAEDの設置および配置について具体的な目安を示しました

 

2011年 JRC蘇生ガイドライン2010

救命の連鎖 蘇生ガイドライン2010

救命の連鎖 蘇生ガイドライン2010

2010年に公表された国際コンセンサスを日本国内の実情にあわせ最適化したJRC蘇生ガイドラインが誕生します。

この年に公表されたガイドラインでは大きな変更がありました。特徴として、医療に馴染みのない一般市民が実践できるようように、手順の単純化、簡素化が行われ、胸骨圧迫(心臓マッサージ)の重要性がより強調されます。

また、成人と子供で別れていた救命の連鎖が統一され、心停止の予防から始めるようになりました。

多くは現在のガイドライン2015にも続く傾向ですが、主に以下のような変更です。

  • 119番通報の通信指令員が救助者に対して、口頭指導を行う
  • 救命の普及・教育のための方策が追加
  • 胸骨圧迫の回数の変更5cmの深さで1分間に100回のテンポ
  • 呼吸・反応がなければ人工呼吸より先に胸骨圧迫から開始する

訓練を受けていない救助者が人工呼吸をするよりも、胸骨圧迫を中断させないことで救命率が高まることから、その優先順位が変わりました。

溺者のような、窒息等によって呼吸停止による心停止は、依然として人工呼吸が有効ですが、突然の心停止の場合では胸を強く、早く、絶え間なく押す指導に変わっていきます。

 

2013年 AED適正な管理等の実施についての再通達

AED解放からおよそ10年が経過し、関係機関、団体の努力や報道でも取り上げられるようになりAEDについての認知が進んできました。ですが、使えないAEDもそれに伴い増加しました。原因は消耗品の使用期限が切れていたり、バッテリー交換をし忘れた等の管理ミスです。

日本でのAEDは公共団体や企業が中心となりその普及に貢献しています。ですが、設置から時間が経ち、組織の人事異動、交代を繰り返すうち点検業務の引き継ぎが行われなかったことがその背景にありました。

こうした現況を踏まえ、この年厚生労働省は全国にAED適正管理についての通達を改めて出します。設置先企業に向けた通達、というより各都道府県自治体へ向けた通達となるものですが、現在、企業においてもこの通達に沿った管理が求められています。

管理の手順はシンプルで、AEDからアラームや異常を伝えるインジケーターの点滅の確認と、電極パッドとバッテリーの交換時期の確認です。異常がなければ点検表やカレンダーでチェックするだけです。

このようにAEDを置いた後の課題が表面化し始め、AED管理業務に対するルール整備が進んでいきます

 

2013年 茨城県AED等の普及促進に関する条例

2013年4月1日、県民の救命率の向上のため、AED(自動体外式除細動器)及び心肺蘇生法の普及促進を図ることを目的に、「茨城県AED等の普及促進に関する条例」を公布しました。

条例には罰則規定はありませんが、県民の救命率の向上のため、県施設や学校、県内事業者に向け、AEDの設置や救命参加を促す内容になっています。また、設置を義務付ける施設は以下の通りです。

多くの県民の利用が見込まれる中心的な庁舎等

  • 県民が運動、宿泊等を目的として利用する施設であり、管理者が常駐する施設等
  • 県立学校等
  • 保健福祉医療施設等
  • 県立病院等

参考 茨城県AED等の普及促進に関する条例について

 

2015年〜 AED成熟期へ

2016年 JRC蘇生ガイドライン2015

救命の連鎖 蘇生ガイドライン2015

救命の連鎖 蘇生ガイドライン2015

昨年の2016年、蘇生ガイドライン2015が公表されました。

大きな流れは前回のガイドライン2010からの続きですが、より一般市民が救命に参加しやすいよう、『迷ったら胸骨圧迫を開始しましょう』と強調されます。特に、心停止の疑いのある傷病者に対し、『何もしない』を減らす目的があります。

主な変更や追加は以下のようなものです。

  • 救助を行う人の立場や熟練度に応じた蘇生手順
  • 胸骨圧迫の重要性をより強調
  • 119番通報時の口頭指導の充実
  • 病気や怪我への手当としてのファーストエイドの追加

 

2016年 日本におけるAEDを用いた市民による救命効果の公表

2016年の10月、石見拓 環境安全保健機構教授、北村哲久 大阪大学助教らの研究グループは2005年から2013年の9年間のAEDによる救命効果を発表しました。

AEDによる救命成果は9年間で800人を救い、また、AEDありとAEDなしの救命率を比較したところ1ヶ月後の生存率が2倍になったとまとめ、今では一般市民によるAEDで毎年200名を救命できていると公表しました。

以下は石見教授、北村助教の会見でのコメントの引用です。

国家規模でのAEDの普及が心臓突然死対策として有効であることが示唆され、世界的にAEDのさらなる普及の後押しに繋がると考えられます。一方で、AEDの普及台数に対して救命された人数は不十分とも言え、さらにAEDの利活用を促すための教育と実践のための社会運動を進めていく予定です。
スマートフォンなどのSNSを活用して、AEDと救助者を効率よく心停止現場に派遣する取り組みなど、AEDの活用率を高める仕組の構築と評価も進めています。

参考 日本におけるAEDを用いた市民による電気ショックと救命数増加

 

2017年 千葉県AEDの使用及び心肺蘇生法の実施を促進する条例

誰もが躊躇う(ためらう)ことなく心肺蘇生法の実施及びAEDの使用ができる環境を整備し、一人でも多くの方の命を救うことを目的として、「千葉県AEDの使用及び心肺蘇生法の実施の促進に関する条例」が2017年4月より公布されました。

茨城県での条例とはことなり、AEDの設置ではなく、心肺蘇生の実施やAEDの使用についての条例であるのが特徴です。

参考 千葉県AEDの使用及び心肺蘇生法の実施の促進に関する条例

 

まとめ

ここまでご覧いただきありがとうございます。

この記事ではAEDの解放から普及までにおこった出来事を中心に解説してきました。

近年では暮らしの中で使えるAEDを増やそうと、企業と自治体等が協力し、24時間使えるように、コンビニへyガソリンスタンドへのAED設置が進んでいます。
また、一部の地域では小学校や中学校での救命教育もはじまり、救命教育も変化してます。

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